認知症と在宅介護を考えるブログ

認知症の介護の法則・介護は合わせ鏡~ある男性の言葉から

time 2017/12/10

認知症の介護の法則・介護は合わせ鏡~ある男性の言葉から

「俺、認知症の介護って本気でするものと思っていたんだけど、違ってたね」そんなお話を聞きました。介護は合わせ鏡、どなたかが言っていましたが、その言葉が頭をふとよぎりました。仕事でも人間関係でも本気でぶつかるのが良いこと、それはそうなのですが、こと認知症の方の介護にはその言葉は当てはまらないのです。

 

介護は合わせ鏡

「介護は合わせ鏡ですよ。本気で相手を叱れば相手も怒る。こちらがニッコリ笑えば相手も笑う。そんなものなのですよ。だから出来るだけニッコリ笑っていましょう」そんな言葉を掛けられたことがあります。

「ニッコリ笑いましょうって、認知症の人相手にへらへらできませんよ。毎日大変なんですからね」内心、私はそう思っていました。でも、認知症の人と家族の会のつどいに参加して色んな方のお話をすると、その言葉が真実だと感じてきましたし、母との対応の仕方もだんだん変わってきたように感じます。

 

つどいに参加されている方で、認知症のお母さんの介護をされている方が

 

「俺は、母の物盗られ妄想が酷くて、とにかく正気に戻ってほしくて本気でぶつかっていたんです。でも母はちっとも俺の話しを聞いてくれないし、アレコレ言えば言うほど母も本気になって怒る。

終いには警察にも行って被害届を出すとか出さないとか、とんでもないトラブルになりました。本気でぶつかる事が良い事だと思っていたんですが、俺、気が付きました。

母は認知症という病気で正常な判断がつかない。しかも俺を見るとすぐに「あれがなくなった、これがなくなった」と訴えてくる。だから俺、もうあきらめたんです。本気で相手にしないように。

色々言われても「ふーん、そうか」と言ってすぐに逃げるようにしたんです。俺がいないと母は誰にも文句が言えない。だからそこで終わり。あれからだいぶ精神的に楽になりました。絶対に怒るとダメですね。こっちが大声を出せば、母も大声を出す。どこかで終わりにさせないと」

このような話しをされていました。諦めると言う言葉は、何となく寂しさを感じさせる言葉ではあるのですが、この場合は認知症のお母さんの症状を受け入れて、受け流すという知恵を身につけられたのだと思います。

 

認知症介護は本気でぶつかると疲れる

前述の男性の言葉は、もう私の言いたいことそのものなんですね。認知症と言うのは、本来の人格に認知症という病気が覆いかぶさっている状態です。

 

今の医学では覆いかぶさった認知症を完全に引きはがすことはできません。そのため、出来る事と言えば対処療法だけ。男性のように対処法を自分で考えだし、知恵として身に付けることしかないわけです。

この方の場合は物盗られ妄想で長い間悩まされているそうですが、物盗られ妄想はそう長く続きません。でもその症状が終わると、次は失禁であったり徘徊であったりと新しい症状が出てきます。

 

そのたびに対処法を学び、対応していかなければならないんですね。これが認知症介護の真実です。でもどんな状況になっても本人も叩いたり殴ったり、暴力や暴言は止めてください。相手を殴れば返ってくる、相手を詰れば返ってくる、介護は合わせ鏡なので、自分の感情をコントロールする事が大切なのです。

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