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神経変性疾患の代表「アルツハイマー型認知症」の病理学的特徴3つ~老人斑・神経原線維化・炎症~

time 2016/10/10

神経変性疾患の代表「アルツハイマー型認知症」の病理学的特徴3つ~老人斑・神経原線維化・炎症~

認知症の中でもとくに多いのがアルツハイマー型認知症……その病気を詳しく解説

人は誰でも年をとれば脳そのものが委縮(縮んで小さくなる)してしまいます。

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脳の中でももっとも委縮が大きいのが、人らしさをつくる大脳です。脳幹と呼ばれる生命維持(呼吸や心臓のリズム)に関わる部分は委縮の影響が少ないと言われています。

脳が委縮するとは一体どういうことなのでしょうか? 老化した脳を調べたところ、脳神経細胞をつなぐシナプスの数が減っているそうです。このシナプス数の減少は大脳皮質や脳の記憶に関わる海馬でとくに顕著です。脳の老化によってもの忘れや意欲低下、感情のコントロールが効かない、発想が貧困になる、同じ生活パターンを好む、などの症状がでてきます。

神経変性疾患とはなに?

これら老化による脳の委縮では、もの忘れはあってもそれが日常生活に深刻な影響を及ぼすことはありません。ところが神経変性疾患になってしまうと、日常生活にかなり影響が出てきます。

神経変性疾患とは、どのような意味なのでしょうか? 脳神経細胞から伸びるシナプスが次々に脱落し、脳神経のネットワークがズタズタにされることです。

その代表的な病気がアルツハイマー型認知症です。ほかにも運動がスムーズにできなくなるパーキンソン病や筋力が低下する筋萎縮性側索硬化症、体のバランスがとりにくくなる脊髄小脳変性症という病気、ほかにもさまざまなものがあります。

アルツハイマー型認知症の病理的特徴とは?

アルツハイマー型認知症の病理的特徴は3つあります。つまりこれら3つの特徴がそろわないと病気を発症していると認定されません。ただ一般の病院ではMRI撮影や認知症テストをするくらいで、脳を解剖して調べるようなことはありません。

1,アミロイドβプラーク(老人斑)

アルツハイマー型認知症患者の脳内には「アミロイドβプラーク(老人斑)」が大量に蓄積され、この老人斑によってシナプスが崩壊します。

2,神経原線維化

ニューロン内にある「タウ」というたんぱく質が過剰にリン酸化され、繊維のように絡みあう現象を神経原線維化と呼びます。アルツハイマー型認知症患者の脳内を見てみると、老人斑や神経原線維化が多数みられ、その周辺に崩れ落ちたシナプスの残骸が多数取り囲んでいます。

この神経原線維化(もつれ)は側頭葉で始まり、後頭葉、前頭皮質へとだんだん脳全体に広がっていきます。このもつれは20年以上かけて広がっていきます。 

3,炎症

老人斑と神経原線維化が起きると、つぎに炎症が発生します。炎症が起こる原因はミクログリア細胞によるものです。

通常この細胞は脳内にアミロイドが沈着すると掃除をする役割を負っていますが、老人斑やもつれによって多数の細胞死を感知するとお掃除モードから攻撃モードへと変化。

自己免疫反応によって周辺の健康なニューロンまで攻撃。炎症が起こります。この炎症の方がやっかいで、老人斑や神経原線維化以上に脳神経細胞やシナプスに大きなダメージを与えます。(アルツハイマー型認知症は自己免疫疾患の側面があるようです)

認知症研究の第一人者は「この炎症を食い止めることができれば、アルツハイマー型認知症にならずにすむかもしれない」と考えています。炎症はそれほど破滅的なもののようです。

アルツハイマー型認知症を発症するには、20年以上も時間がかかります。進行を食い止めることはむずかしいかもしれませんが、日常生活を改めることで進行を止める、あるいはゆるやかにすることができるかもしれません。

なおアルツハイマー型認知症の発症原因は「加齢や遺伝ではないか」ということですが、やはり良く分かっていないようです。老人斑や神経原線維化が起きる根本的なメカニズムがわかれば、治療法確立や特効薬開発の足掛かりになるかもしれません。

認知症リスクを下げる効果が期待できる趣味とは?】病気を発症してからなんとかするよりも、やはり予防することが重要なのです。

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